とある言語の衰退を食い止めるべく、宇宙船イン・ビトゥイーン号に乗り込んだ四人の乗組員と、一体のアンドロイド、そして銀河の旅の途中で遭遇する地球外知的生命体。
宇宙を漂いながら、やがて言葉をめぐる対話が繰り広げられる。劇中で語られる、変化しゆく「わたしたちの言葉」とは、いったい誰のものなのか。
演劇における日本語の可能性をひらくため、チェルフィッチュが2021年より取り組む「ノン・ネイティブ日本語話者との演劇プロジェクト」。本作は、そのワークショップを通じて出会った日本語を母語としない俳優とともにつくり上げた。
舞台上で発されるせりふが、その発音や文法の「正しさ」とは関係なく観客に届くということ。パフォーマンスが引き起こす想像を拠り所に、「正しさ」から解放された言葉が作用し、演劇の本質があらわになる。
映像配信
EPAD×THEATREforALL
ノン・ネイティブ日本語話者との演劇プロジェクトについて
演劇は、俳優の属性と役柄が一致せずとも成立するものです。それにも関わらず、日本語が母語ではない俳優はその発音や文法が「正しくない」という理由で、本人の演劇的な能力とは異なる部分で評価をされがちである、という現状があります。
ドイツの劇場の創作現場で、非ネイティブの俳優が言語の流暢さではなく本質的な演技力に対して評価されるのを目の当たりにした岡田は、一般的に正しいとされる日本語が優位にある日本語演劇のありようを疑い、日本語の可能性を開くべく、日本語を母語としない俳優との協働を構想しました。
2021年よりチェルフィッチュはワークショップやトークイベントを通してプロジェクトへの参加者と出会い、考えを深めてきました。2023年3-4月にはこれまでのワークショップ参加者を対象にオーディションを実施、選ばれた4名とともに『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』を創作・発表します。
今後も活動を継続し、このような取り組みが他の作り手にも広がることで、日本語が母語ではない俳優たちの活動機会が増え、創作の場がより開かれた豊かなものになることを目指します。
これまでの取り組み
ワークショップ
第一弾 2021年9月10日〜10月10日
レポート(precog note):https://note.com/precog/n/n54be1d88d66a
第二弾 2022年4月11日〜5月21日
第三弾 2022年7月31日〜8月2日
第四弾 2022年10月21日〜23日
東京公演関連企画WS
講師:山本ジャスティン伊等(Dr. Holiday Laboratory) 2023年7月23日
講師:山田由梨(贅沢貧乏/作家・演出家・俳優) 2023年7月27日
京都公演関連企画WS
講師:野村眞人(レトロニム/演出家)2023年10月1日
トークイベント
チェルフィッチュによるノン・ネイティブ日本語話者との演劇プロジェクトについて考える
アーカイブ配信(YouTube):https://youtu.be/53gEzFUim5c
アーカイブ記事
ノン・ネイティブ日本語話者との演劇プロジェクト特集(chelfitsch note)
他者とつなぐインターカルチュラル的な演劇の新様式
https://note.com/chelfitsch_note/n/ndc9fb058d4cd
言葉がきこえる声、あるいは想像のヴァイブレーション
https://note.com/chelfitsch_note/n/n4378e4155e36
演技と観劇、もしくは宇宙の旅への必要な能力
https://note.com/chelfitsch_note/n/ndd8b2419fea4
チェルフィッチュ『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』に迫る(吉祥寺シアターnote)
前編
https://note.com/kichi_theatre/n/n6de57a69c04e
後編①
https://note.com/kichi_theatre/n/nc4c80d71f4bb
後編②
https://note.com/kichi_theatre/n/n309a8ed51b40
母語は日本語…「予定調和は嫌だ」 演劇作家・岡田利規「宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓」
(朝日新聞 2023年8月10日掲載)
※有料記事
「宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓」 境界を超えて、その先へ
(jstage.com)
日本語を母語としない俳優による現代日本批判劇 チェルフィッチュ『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』
(NewsPicks)
※有料記事
[作・演出]岡田利規
[出演]安藤真理、徐秋成、ティナ・ロズネル、ネス・ロケ、ロバート・ツェツシェ、米川幸リオン
[初演年]2023年
[上演時間]100分
クレジット
作・演出:岡田利規
出演:安藤真理、徐秋成、ティナ・ロズネル、ネス・ロケ、ロバート・ツェツシェ、米川幸リオン
舞台美術:佐々木文美
音響:中原楽(LUFTZUG)
サウンドデザイナー:佐藤公俊
照明:吉本有輝子
衣裳:藤谷香子
舞台監督:川上大二郎(スケラボ)
演出助手:山本ジャスティン伊等(Dr. Holiday Laboratory)
英語翻訳:オガワアヤ
宣伝美術:牧寿次郎
アートワーク:平山昌尚
プロデューサー:黄木多美子(precog)、水野恵美(precog)
プロジェクトマネージャー:遠藤七海
プロジェクトアシスタント:村上瑛真(precog)
製作:一般社団法人チェルフィッチュ
共同製作:KYOTO EXPERIMENT
主催:一般社団法人チェルフィッチュ
企画制作:株式会社precog