『わたしたちは無傷な別人であるのか?』横浜公演

http://stspot.jp/schedule/?p=2527

2010年あいちトリエンナーレでの世界初演にむけて制作された、プレビュー公演。
本作では、チェルフィッチュがこれまで用いその特徴とされてきた、いわゆる「ダラダラとした若者言葉とノイジーな身体」という表現方法から自由になり、表象行為の在りようを根本から見つめ直し更新するために試行と実験を繰り返しながら、演劇の新たな地平を目指している。2010年、グロニゲン(オランダ)でのプレビューを経て、さらなる完成版としてあいちトリエンナーレにて世界初上演される。

舞台は、衆議院選挙が行われた2009年8月30日とその前日。高層マンションの購入を控えたある裕福な夫婦とその周辺の人々をめぐって、彼らの抱える漠然とした不安が語られる。この時代における「幸福」とは何かというテーマのもと、格差社会の見えにくい現実を、平易なテキストと、おざなりな表象行為を排した身体によって浮き彫りにしていく。

二〇〇九年八月三十日日曜日や、その前日の土曜日の夜が、この新しい作品の舞台です。

たとえばわたしたちの時代の気分が不安に満ちたものであることに思いを馳せるとき、そうした不安を共有していない人たちもいるかもしれない(というか確実にいるんだけど)ということを、できるだけ絶えず心に留めておくこと。そして、わたしたちが感じる不安を共有していないのは、一体誰なのか? ということにも同じくらい思いを馳せてみる。たとえばあなただって、そうなのかもしれない。つまり、すべてのわたしたちがそうである可能性があるのだ。

今回は、上演のフォームをできるだけ固定しないまま、最後までいきたい。上演とは、そもそも毎晩異なるものだけれど、本来あらゆる上演に当てはまるはずのその真実は、得てして上演を行うこちら側みずからが、おざなりにしてしまいがちなことでもある。そうではなく、そのことをむしろ露わにしてしまえたらいいのだけど。

岡田利規

巡回先スケジュール

クレジット

作・演出:岡田利規

出演:山縣太一 松村翔子 安藤真理 青柳いづみ 武田力 矢沢誠 佐々木幸子
舞台監督:鈴木康郎 弘光哲也
音響:牛川紀政 青谷保之(音響操作/横浜美術館公演)
照明:大平智己
制作:プリコグ
主催:チェルフィッチュ 神奈川県
共同制作:財団法人神奈川芸術文化財団 Theatre de Gennevilliers Centre Dramatique National de Creation Contemporaine(フランス/パリ) Festival d'Automne(フランス/パリ) Noorderzon Performing Arts Festival Groningen(グロニゲン/オランダ)
助成:財団法人セゾン文化財団 芸術文化振興財団 アサヒビール芸術文化財団 平成21年度横浜市先駆的芸術活動助成
会場協力:STスポット 横浜美術館 
特別協力:急な坂スタジオ

"Who Knows We Are Not Injured like the Others?" in Yokohama

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