舞台は、衆議院選挙が行われた2009年8月30日とその前日。高層マンションの購入を控えたある裕福な夫婦とその周辺の人々をめぐって、彼らの抱える漠然とした不安が語られる。この時代における「幸福」とは何かというテーマのもと、格差社会の見えにくい現実を、平易なテキストと、おざなりな表象行為を排した身体によって浮き彫りにしていく。
本作で、それまでのチェルフィッチュの方法論を次なる次元に押し進め、時空間をより抽象化した演劇が、観客の想像力によってのみ完成することを示した意欲作。2010年、横浜でのワークインプログレス公演、グロニゲン(オランダ)でのプレビュー公演を経て、さらなる完成版としてあいちトリエンナーレにて世界初上演された。
[作・演出]岡田利規
[初演年]2010年
[上演時間]約110分
[キャスト数]7名(男:3, 女:4)
クレジット
[作・演出] 岡田利規
[出演]山縣太一、松村翔子、安藤真理、青柳いづみ、武田力、矢沢誠、佐々木幸子
[舞台監督]鈴木康郎、弘光哲也
[音響]牛川紀政、青谷保之(音響操作/横浜美術館公演)
[照明]大平智己
[共同制作]
あいちトリエンナーレ 2010、Theatre de Gennevilliers Centre Dramatique National de Creation Contemporaine(フランス/パリ)、Festival dʼAutomne(フランス/パリ)、Noorderzon Performing Arts Festival Groningen(グローニンゲン/オランダ)