http://kyoto-ex.jp/2013/program/chelfitsch/
『地面と床』特設サイト
http://jimen.chelfitsch.net/
チェルフィッチュの「音楽劇」?!
演劇という装置の有効性をアップデートする大いなる野心
超リアル日本語とも評されるセリフと、日常的所作を誇張しているような/いないようなノイジーな身体性で、瞬く間に日本の現代演劇を牽引する存在となったチェルフィッチュ。KYOTO EXPERIMENT 2010では代表作の一つ『ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶』で京都の観客を大いに沸かせた。
カンパニーを率いる演劇作家・小説家の岡田利規は、震災後に熊本へと拠点を移し、その後の個人的なリアクションも含んだ作品『ZERO COST HOUSE』を発表するなど、その著作、発言にいたるまで、注目を集める存在。今年1月に出版された初の演劇論『遡行 変形していくための演劇論』が、演劇界の外部でも広く話題になったことは記憶に新しい。
そんなチェルフィッチュの最新作『地面と床』は、我々が彼らの作品に抱いていた印象を大きく変更させるものとなる。何と彼らは、初のそして独自の「音楽劇」に挑むのだ。盟友とも言えるバンド「サンガツ」が、俳優とバンド
の「生演奏」でセッションをするように楽曲を制作し、実際の舞台上でも俳優の身体と音楽が同じレイヤーに置かれることになる。これはある意味、チェルフィッチュ流の〈能楽〉と言えるのかもしれない。『地面と床』の舞台は、日本語がほとんど誰にも伝わらなくなった近未来の日本。言葉と故郷を失いつつある社会に生き、記憶と忘却の狭間で揺れ動く〈生者〉たちと、彼らを憂う〈死者〉の利害が対立する。2011年に日本で起きた震災とそれが引き起こした日本社会への影響は、否応なくここに響き合う。
作品は、5月のクンステンフェスティバルデザール(ブリュッセル)で世界初演。その後の欧州ツアーを経て、京都での3ステージが日本初演となる。演劇の新しい形式を探求することから、いかに演劇という装置を有効にアップデートするかの試みへ。チェルフィッチュは次の次元へ向かっている。
ポスト・パフォーマンス・トーク
9月29日(日)の回終演後
ゲスト:建畠 晢(京都市立芸術大学学長)
特集
ブリュッセルでの初演を終えた岡田さんに、作品についてインタビューを行いました。聞き手は小説家の福永信さんです。
インタビュー 岡田利規 × 福永信
http://kyoto-ex.jp/2013/feature/11172/
巡回先スケジュール
クレジット
作・演出:岡田利規
出演:山縣太一、矢沢誠、佐々木幸子、安藤真理、青柳いづみ
音楽:サンガツ
美術:二村周作
ドラマツゥルグ:セバスチャン・ブロイ
衣装:池田木綿子
舞台監督:鈴木康郎
照明:大平智己
音響:牛川紀政
映像:山田晋平
解剖学レクチャー:楠美奈生
製作:Kunstenfestivaldesarts
共同製作:
Festivals d’Automne à Paris(パリ / フランス), Les Spectacles vivants ‒ Centre Pompidou (パリ / フ
ランス), HAU Hebbel am Ufer (ベルリン / ドイツ), La Bâtie ‒ Festivals de Genève(ジュネーブ / スイ
ス), KAAT神奈川芸術劇場 (横浜), Kyoto Experiment(京都), De Internationale Keuze van de
Rotterdamse Schouwburg(ロッテルダム/オランダ), Dublin Theatre Festival(ダブリン / アイルラン
ド), Théâtre Garonne(トゥールーズ/フランス), Onassis Culutural Center(アテネ/ギリシャ)
レジデンシーサポート:KYOTO EXPERIMENT、KAAT 神奈川芸術劇場
協力:急な坂スタジオ
共催:京都府立府民ホール アルティ
主催:KYOTO EXPERIMENT