三月の5日間
三月の5日間(第49回岸田國士戯曲賞受賞作品)
[作・演出]岡田利規
[初演]2004年 @品川スフィアメックス
[幕・場面数]2幕10場
[上演時間] 90分(休憩15分)
[キャスト]7名(男5・女2)
[上演歴]
2004 第13回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバル/品川スフィアメックス(東京)
神戸アートビレッジセンターKAVCギャラリー(神戸)
2006 スーパーデラックス(東京)
2007 山口情報芸術センター(山口)
イムズホール(福岡)
KUNSTENFESTIVALDESARTS 2007/Kaaitheaterstudio's(ブリュッセル)
Maison de la culture du Japon a Paris(パリ)
高知県立美術館(高知)
国立国際美術館(大阪)
六本木クロッシング2007:未来への脈動]展/森美術館
2008 Esplanade(シンガポール)
SalzburgerFestpiele(ザルツブルグ)
ChapterArtsCenter(カーディフ)
コンカリーニョ(札幌)
Festival d'Automne/Theatre du Gennevilliers(パリ)
Hebbel Am Ufer(ベルリン)
Nam June Paik Art Center(ソウル)
2009 Southern Theatre at Walker Art Center(ミネアポリス)
PUSH International Performing Arts Festival/Performance
Works(バンクーバー)
Studio Theater at On the Boards(シアトル)
Wexner Center for the Art/コロンバス
Japan Society(ニューヨーク)
University of Missouri St. Louis(セントルイス)
Museam of Comtemporary Art(シカゴ)
2010 HongKong Arts Festival/香港
2003年、アメリカ軍がイラク空爆を開始した3月21日(アメリカでは20日)。この日を間に挟んだ5日間における、数組の若者たちの行動を語る戯曲。語るとは、文字通り「語る」であって、俳優たちが役を「演じる」のではないところにこの作品の最大の特徴と魅力がある。
六本木のライブで知り合い、そのまま渋谷のラブホテルに5日間居続けになり、たまに外へ食事に出ては、不思議と渋谷にいつもとは違う新鮮な感覚を覚えるミノベとユッキー。ミノベの友人で、少しばかり電波系の少女ミッフィーと映画館で出会うアズマ。渋谷の町を行進する反戦デモに「ゆるい」感じで参加するヤスイとイシハラ。
舞台に登場する男優1男優2と名づけられた7人の俳優たちのセリフは、たとえば次のようなものだ。「それじゃ『三月の5日間』ってのをはじめようって思うんですけど、第一日目は、まずこれは去年の三月っていう設定でこれからやってこうって思ってるんですけど、朝起きたら、なんか、ミノベって男の話なんですけど、ホテルだったんですよ朝起きたら、なんでホテルにいるんだ俺とか思って、しかも隣にいる女が誰だよこいつしらねえっていうのがいて、なんか寝てるよとか思って、っていう、」このようにして俳優たちは、行動の当事者となって物語を展開するのではなく、入れ替わり立ち替わりながら、彼らから聞いた話を観客に説明するというスタイルで、代話していく。
事件らしい事件の起こらないこの作品で試みられているのは、「現実的な表現」への真摯な模索である。まず、いかにもそれらしく「役を演じる」ことの演劇的な欺瞞を排除し、次に、いかにもセリフらしいセリフの嘘くささを取り去ってみている。 いま現在における、最も誠実な表現の姿勢を突き詰めたはてに現れたこの作品では、「戦争」という巨大な出来事と、ほとんど些末ともいえるリアルな日常を巧妙に対比させ、日本の若者たちの抱く、とらえどこのない現実感を見事に構造化している。

