演劇

4

言葉を発しながらその言葉にまつわるイメージを形成するのは間違っている。イメージがないところに言葉は生まれ得ないからである。
つまりイメージは、俳優の中に、言葉を発することに先行して在らねばならない。
(2004年6月11日)

4.1
言葉を発する行為の中にはイメージを増幅させる力が確かにある。しかし俳優がその力を使ってイメージを作るのは間違っているのだし、それに、そのような仕方で生まれるイメージは大抵貧しい。源泉から源泉以上に豊かなものを取り出してくることは、原理的にできないからである。
イメージは複雑なものでなければならない。イメージは、言葉や仕草がそこから汲み上げられてくるところの源泉である。だからイメージは、まず量が多くなければならないし、そしてノイジーなものでなければならない。イメージがノイジーでなければ言葉や仕草はさらにノイジーでないものとしてしか在れないからである。
(2004年6月12日)

4.2
言葉や仕草はイメージから汲み上げられるものだが、イメージのすべてを汲み上げられるものなわけではない。言葉や仕草には、イメージを十全に形にするだけの性能はないし、なくてしかるべきである。 逆算的に言うと、言葉や仕草の性能をそのようにロー・フィデリティなものとするためには、俳優は、人が聞いたらあきれる位の多くの情報量を含んだイメージを形成しておくのでなければいけない。
(2004年6月11日)